日本の労働組合を代表する団体である連合の最新の調査結果についてお話ししたいと思います。これらの調査は、我々が直面している労働環境の現状を明らかにし、これからの働き方についての洞察を提供してくれます。
“つながらない権利”に関する調査
勤務時間外の業務上の連絡に関する意識や実実態を把握するための調査です。この調査では、18歳から59歳の有職者1000人を対象に、インターネットリサーチで質問を行いました。その結果、以下のようなポイントが明らかになりました。
- 勤務時間外に部下・同僚・上司から業務上の連絡がくることがある雇用者は72.4%で、コロナ禍前より8.2ポイント上昇。
- 勤務時間外に取引先から業務上の連絡がくることがある雇用者は44.2%で、コロナ禍前より5.6ポイント上昇。
- 雇用者の62.2%は、勤務時間外に部下・同僚・上司から業務上の連絡がくるとストレスを感じている。
- 雇用者の66.7%は、勤務時間外の部下・同僚・上司からの連絡を制限する必要があると思っている。
- 職場で調査等の実実態把握が行われたことがある雇用者は20.5%で、飲食業・宿泊サービス業では4.9%。
- ““つながらない権利”によって勤務時間外の連絡を拒否できる”と思う雇用者は72.6%で、“つながらない権利”によって拒否しやすくなると思う雇用者も73.6%です。
仕事とプライベートの境界界線が曖昧になったり、自分の意見や感情を上司や同僚に伝えることができなくなったり、自分の仕事に対する責任感やモチベーションが低下したりと、新たな課題が浮かび上がってきました。これらの課題は、働き方改革の一環として、企業や組織が取り組むべき重要なテーマとなっています。
プライベートの時間に仕事の連絡がくるのは、ストレスの塊ですよね。自分の時間をリフレッシュや趣味に充てるはずが、いつでもつながっている感じで、まるで仕事から逃げることができないようなプレッシャーがあります。これでは、メリハリをつけて充実したプライベートを過ごすことが難しいですよね。もっと働き方が柔軟になり、プライベートな時間もしっかり尊重される環境が求められていると思います。
仕事と育児の両立支援制度に関する調査
仕事と育児を両立しながら働く女性の現現状やニーズについて調査されました。
「仕事と育児の両立支援制度に関する意識・実実態調査2023」では、以下のような具体例が報告されています。
- 「仕事と育児の両立支援制度」を利用している人は全体の約6割であり、その中でも「育児休業」を利用している人は約4割でした。利用している理由として最も多かったのは「子どもの成長を見守りたいから」(約6割)でした。
- 利用している制度について満足している人は全体の約7割であり、その中でも「育児休業」を利用している人は約5割でした。満足している理由として最も多かったのは「仕事と育児のバランスが取れたから」(約6割)でした。
- 利用していない制度について知りたいと思っている人は全体の約8割であり、その中でも「育児休業」を利用していない人は約4割でした。知りたくても利用できなかった理由として最も多かったのは「会社や職場によって制度が異なってしまうから」(約5割)でした。
育児休業中も仕事から離れられずにストレスを感じたり、育児休業中も家事や育児に追われて時間が取れないといった声が多く聞かれました。これらの声は、働く女性を支援するための制度や環境の改善が必要であることを示しています。
就職差別に関する調査
「就職差別に関する調査2023」は、日本労働組合合総連合会とネットエイジアが共同で行ったインターネット調査です。この調査では、15歳から29歳の男女1,000人が、就職のための採用試試験を受けた経経験や感想をアンケートで回答しました。その結果、以下のようなな傾向が見られました。
- 採用試試験では、応募書類やエントリーシートに記入を求められた内容が最も多く、性別(80.5%)や本籍地や出生地に関すること(43.6%)が高い割合で挙げられました。家族に関することや生活活環境・家庭庭環境などに関することも多く含まれていました。
- 採用面接では、「他社の選考考状況」(43.2%)や「趣味・特技」(18.0%)、「顔写真」(16.2%)などが最も多く質問されました。また、「「転勤ができるかどうか」や「残業や休日出勤ができるかどうか」なども高い割合で聞かれました。
- 採用面接で不適切な質問や発言をされた経経験をした人は約2割でした。その中でも、「家族に関すること」(37.7%)や「性別」(28.6%)が特に多く挙げられました。
- 就職活動において、男女差別を感じたことは約3割の人がありました。その中でも、「男性よりも女性の方が採用される可能性が高い」という意見は約4割の人が持っていました。
調査結果を見て、正直驚きと同時にがっかりした気持ちがあります。就職活動において、なおも性別や出生地に基づく差別的な質問が行われ、それが若者たちの選考に影響を与えている現実は、社会が進むべき方向とは真逆のように感じられます。
面接での質問において、「他社の選考状況」や「趣味・特技」、「顔写真」など、仕事とは無関係な要素が強調されていることは、本来の採用の目的から逸脱しているように思えます。人の価値を性別や個人の背景だけで判断することが、多くの人にとって公平でないと感じられるのは当然のことです。
また、不適切な質問や発言があるという割合も決して少なくなく、これが若者たちの不安やストレスに繋がっていることは容易に想像できます。社会が進む中で、これほどまでに差別的な態度が残っていることに、改めて問題提起を感じざるを得ません。
以上が最新の連合調査から見えてきた、これからの働き方についての考察です。これらの調査結果は、我々が直面している労働環境の課題を理解し、それに対応するための方向性を示してくれます。これからも、働き方改革を進めるために、連合の調査結果を参考にしていきたいと思います。
この調査は、日本労働組合合総連合会やウィキペディアなどで詳しく紹介されています。また、朝日新聞では、「つながらないい権利」に関する記事も掲載されています。興味があればご覧ください。
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